××倶楽部
「やっと仕事に戻れる。ああ、町田さん。今日は本採用の日でした。どうです? 僕としては長く働いてくださると嬉しいです」
「はい、お願いします」
ハヅキ様が、よかったね、と手を叩いてくれた。
「じゃあ、これ一応採用の契約書です。重要なのは、うちで見聞きしたことには守秘義務がありますので、お客様の情報などは絶対に流出させないように、ということくらいです。ざっと目を通して、ここに署名と捺印を……」
社長が書類を手にしたまま、机の上にくたりと倒れる。
「しゃ、社長!?」
「聖夜さん?」
慌てて社長にかけよると、顔が真っ赤だ。呼吸もはやい……説教に興奮してたわけじゃないんだ! 多分、リオ様の風邪がうつったのかも!
「社長、大丈夫ですか? やだ……すごい熱……」
マサキさんも心配そうにしてくれている。
「ああ……大丈夫です。すみません……ちょっと目眩がしただけです……」
それでもパソコンの電源をいれようとする社長の腕を掴んだ。
「社長、部屋に戻ってください。すごい熱ありますよ! マサキさん、社長のこと運んでもらえますか?」
マサキさんはすぐに、ああいいよ、と言って社長の腕を自分の肩にまわした。