××倶楽部

────冷たいみずでタオルを絞り、社長の寝室に入る。着替えはリオ様がしてくれた。


「町田さん……もう勤務時間すぎてませんかぁ……?」


「そんなこと心配しないでください」


 社長の赤い頬と、とろんとした目……オデコのタオルを交換すると、ありがとう、と喉仏を上下させた。


 こんな時に、何を観察してるんだろ私。不謹慎すぎる。


「今、リオ様とミーナ様が食材買いに行ってくれてますからね。私は、これで帰ります……」


「……まって」


 熱い手がそっと私の肩を掴む。


「きゃ! 社長!!」


 病人の上に倒れないように気を使って避けようとするのに、社長は強引に私を抱きしめる。


「キス……したいけど、風邪がうつったら困りますから…………これで我慢します」


 いつもより熱くて荒い吐息が耳を直に刺激してくるから、私まで発熱してしまいそうだ。






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