××倶楽部
そのままもう一度社長に優しく抱きしめられて、目を閉じた。
デートの約束してくれた…………すごい、幸せ。
「今日も色々問題はありましたけど、一日お疲れ様でした……デートのためにも早く元気にならないとね」
「はい。じゃ、私帰りますね。早く元気になってください。デート……楽しみにしています」
幸せ、幸せ、すごい幸せ…………
ただいまー、と声がしてリオ様とミーナ様が戻ってきた。慌てて社長から離れて、肩まで布団をかけ直す。熱で赤い顔で、ありがとうございます、と微笑まれると全身の空気がプシューと抜けてしまいそうだ。
「聖夜、薬買ってきたぞー!」
ミーナ様が紙袋を突き出すと、社長はくるんと寝返りうって背を向けた。
「甘いシロップじゃないと飲みません」
リオ様は憤慨したように社長をぐらぐらと揺すった。
「なに言ってんのよ! 私に苦い粉薬のませたくせに! ミーナちゃん、店から手錠と鞭と蝋燭もってきなさい」
ミーナ様は、アハハと笑い声をあげて、今夜は楽しくなりそうだなぁーと言ってるし。
「あのぅ……」
大丈夫かな? この二人。
「芽依ちゃん、お留守番ありがとうね。お疲れ様、明日は芽依ちゃんはお休みでしょ? マーベラスは大丈夫だから、ゆっくり休んでね。聖夜は私とミーナちゃんで渾身の看病するから大丈夫よ」
渾身の看病、それが一番心配ですとは言えない。ご冥福をお祈りします、と頭を下げた。
社長ごめんなさい、やっぱりこの二人には適いませんでした。