××倶楽部
典に脱がされたチュニックのポケットの中で私の携帯が着信を告げた。
「典、離して……お母さんかも」
典は渋々手を解放してくれた。
「もしもし……」
『町田さんですか? 草原聖夜です』
しゃ、社長!?
私は、バッと布団を自分の体に巻きつけて典を睨みつけた。
典は首を傾げると、足を投げ出して、こっちを睨み返してくる。
「しゃ、社長……お体の具合いかがですか?」
社長という単語を耳にした典はますます眉をしかめて私を睨む。
自分が下着姿なのと、典が上半身何も身につけてないことが後ろめたい。
なんで、典とこんなことしちゃったんだろう…………そんなこと知らない社長は一方的に楽しそうに話だした。
『ただの風邪でしたので、熱も下がってきました。苦い薬飲まされて吐きそうになりましたよー。
でも、町田さんがメールくれたの嬉しくて電話しちゃいました。思えば電話で話すのはじめてですね。かけるの緊張しましたよ』
「あはは、それだけ話せれば大丈夫そうですね。昨日はぐったりだったので、本当に心配でした。流石、リオ様とミーナ様の看病のおかげですねー」
『はい、でも本当は町田さんに看病されたかった』