××倶楽部
「そっち系?」
マウンテンバイクの一直線のハンドルを器用に扱いながら、社長は首を傾げた。
「ああ! 何の話ですか?」
「やっぱり……警察のお世話になったりとか?」
「ないですよ。最初に説明したじゃないですか、うちは健全ですよーって。
マーベラスは建物も土地も全部僕の父親が所有していて、全てが個人所有なのでヤクザさんたちがなんとか料払えって来ることもないですよ。
SM倶楽部ってだけで、そういう偏見てやっぱりあるんですかね? 僕としては、本当に真面目にSM倶楽部を経営しているだけなんですが……」
あ、ヤバい。地雷踏んじゃったかも。社長がしゅんとして、俯いた。
川沿いまでやってきた私たちは、並んで土手の上を走っていた。社長がペースダウンしたから、私もそれにあわせて慌ててフォローする。
「偏見というか私何も知らなくて、すみません。でも社長が真面目で一生懸命なのはよく理解してますから」