××倶楽部

 食後に私はレモンティを社長はブラックコーヒーを飲んで、ランチをご馳走になった。

 カフェに隣接した公園は大きくて、郊外にあるのにドラマのロケとかにも使われる公園らしい。社長の提案で自転車を駐輪場に停めて、歩くことにした。



「手を、繋いでもいいですか?」


 前を歩いてた社長は振り向くと、右手を私に差し出した。

 ど、どうしよう……と困っていると社長は強引に私の左手をとるとキュッと握りしめて歩き出す。


 恥ずかしいのに、隣を歩くこの格好いい男の人に私は説明できないほど惹かれていると改めて思い知らされる。


 爽やかで美形でお洒落で知的。会話も尽きないし、言葉の一つ一つも全部好き。


 それに、社長と緑の中の公園てとてもよく似合う。普段のスーツもいいけど、こういう自然な社長は断然いい。

 皆が知らない社長は、今だけ私のものだ。



「町田さん……」


「はい?」


 木陰で唇を奪われて、体が硬直した。突然のキスに身構える。


「社長……誰かに見られたら……」

「誰もいませんよ。少しだけですから」





< 161 / 378 >

この作品をシェア

pagetop