××倶楽部
「冗談ですよ。芽依の困ってる顔は可愛いすぎるんです……」
芽依って呼ばれてる。嘘みたい。
そのまま抱きしめられて、目を閉じた。社長からは太陽と木々のいい香りがする。
「芽依、僕とお付き合いしてくれませんか?」
嘘みたい…………社長から告白された?
「あの、私……」
「これは困らせたくて言ってるわけじゃないですよ? 真剣にお願いしてます。僕とお付き合いしてください」
「それって、リオ様やミーナ様じゃなくて私だけを選んでくれるってことですか?」
「え? リオさんやミーナさんは関係ないじゃないですか、僕は最初から芽依だけは特別視して見てましたよ。あ、今のセクハラ発言で訴えられませんかね」
「訴えません…………」
嬉しい、嬉しい、嬉しい…………
社長にそんなふうに思ってもらえていたなんて…………
「今日のデートは、それを伝えたかったんです。仕事中はなかなか難しいですからね。
付き合ってくれますか?」
「……はい、お願いします」
はじめてできた彼氏は、SM倶楽部社長。
でも、そんなの関係ない。私は幸せで押し潰されちゃいそうになりながら、社長の腕の中にいた。