××倶楽部
これでよかったんだと、目をぎゅっと瞑る。
私、すごい幸せだ。
これでいい。社長を好きになって、デートして、社長と結ばれて…………ずっと憧れてきたことが、こんな素敵な人と実現できたんだ。
ちょっと意地悪だけど、でも社長なら大丈夫。愛情に溢れた人だ。中途半端なことはしない。マーベラスでそれを何度もみてきたから。
なのに、ぎゅっと目をつぶると瞼の裏には典がいて。どうして、そんなに寂しそうな顔をしているんだろう………
「芽依………」
甘く囁く低く通る声は、私がずっと聞いてきた幼なじみのものじゃない。
「社長……好きです……」
好きになった相手はSM倶楽部の社長。
「僕もですよ……芽依が大好きです」
痛みは消えていた。かわりに終わりの見えない快楽だけが渦巻いていた。