××倶楽部
10
────体、辛くないですか? いえ大丈夫……。すみません無理させて、でもすごいよかったです。私のほうこそ……。いや、僕のほうこそ。なんて恥ずかしいです、あ、本当に大丈夫ですから。いや、でも心配です。そんな社長のほうこそ……
バカップルて、なんでそんなに場所も人目も気にせずにいちゃいちゃできるのか、ずっと不思議だったけど、今その謎がとけた。
本当に周りが視界に入らないんだってこと。
雨上がりの、駅前の小さな公園で自転車を並んで停めて、別れられずに手を繋いだり、キスしたり、ハグしたりをさっきから繰り返してる。正真正銘のバカップルに自分がなってる。
「明日はまた仕事で会うんですよね。僕は経営者なのに、従業員に手を出すなんて最低ですね。でも自分が抑えられなかった」
「社長は色んな意味で全員に手を出してますから」
「でも、こういう関係になるのは芽依がはじめてですよ」
その一言が嬉しい。
「それと……女王様たちには、僕から伝えていいですか?」
「え? はい……」
そうだよね。やっぱり言わなきゃだめだよね。沈んだ表情をした私の額に優しいキスが降る。
「何か辛いことを言われるかもしれませんが、芽依の働きぶりは皆さん認めています。あとは僕が守りますから」
「社長……」