××倶楽部

 でも、お兄ちゃんもいるし……まあ典ひとりくらいのごはんなら、いつものことだし。


「あ、アキ兄は雫さんのアパートに泊まるってさ。ツワリで大変らしいから、そばにいてやりたいんだって、カッコいいなぁアキ兄」


 カラカラと笑う典に唖然としつつ、こういうの続けていいのかなぁ? と首を捻る。


 ってことは、二人っきり?



「なに、難しい顔してんだよ」



 急にこの前の典を思い出してしまった。私、バカ! 平常心!



「赤くなってるし」


 頬をむぎゅと掴まれて、いたっ、と声をあげた。


「エロ芽依。まさか、この前の続きしてほしいのか? 二人きりだもんな、明日俺の気が向いたら相手してやるよ」


 典が白い歯をみせて、ニカッと笑う。この腹黒い笑顔も何回もみてきた顔だけど、今日ほどドキリとさせられたことはない。

 意志の強そうな真っ直ぐな瞳も、すっと通る鼻筋も、社長とは全然タイプの違う……格好良さがある。



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