××倶楽部

「典……私、今日ちゃんと社長に告白されたの。付き合うことにしたから」


 典の真っ直ぐな瞳に負けないように、目をそらさないように、典を見つめる。


「付き合うって、おまえら社長と従業員だろ? SM倶楽部では大丈夫なのかよ」


「うん、でも社長が守ってくれるって言うから、好きだし信じたいの」



 典の瞳に怒りの攻撃色が強くなる。真一文字に結ばれた唇から放たれる次の言葉が怖い。



「そんな簡単なことじゃねーだろ。最低だな、そいつ。芽依のこと軽く考えすぎだ」


 典の言いたいことの意味がわからずに、首を傾げた。


「今すぐ別れろ。そんなに彼氏が欲しいなら俺がなってやるからっ!」



 やっぱり…………典なら、ひょっとするとそんなこと言ってくるんじゃないかと思ってた。

 期待してたわけじゃないけど、典は私が想像する以上に私を大切にしてくれている。不器用な言葉で、ずっと守っていてくれた。




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