××倶楽部
私、典のこと完全に拒むことができる?
「か、彼氏が欲しいわけじゃないの……私、男っていうとほとんど典しか知らないけど、社長は初めてちゃんと好きって気持ちになれて、私のことを好きって言ってくれた人だもん」
だから、後悔なんかしてない。
してないのに、何だろうこのわだかまり。胸が苦しい。典がいると苦しくなる。
「俺が、ずっと芽依から男遠ざけてたから、お前わかんないんだろ……好きになるってそんなもんじゃねーよ。相手はSM倶楽部社長だろ……」
典が下唇を噛み締めた。辛そうな顔をされて、どうしていいかわからなくなる。
「典……?」
社長と抱き合って目を閉じた時、瞼の裏にいた典は今と同じ表情をしてた。
私、典にこんな顔させてしまうのわかってた。
わかってたのに、社長への気持ちは止められない。
本当に止められないかな?
私、典にこんな顔させたくない。
「ごめんね、典………」