××倶楽部

 ミーナさんは、ようやく社長の膝の上からおりると超有名スイーツ店の紙袋を大切そうに抱えた。



「ほら、一個やるよ。就職祝い」    

 私のデスクの端っこに、ぽつんと置かれたカップに入った杏仁豆腐。


「あ、ありがとうございます。ミーナ様」 


 私は、女王様から貢がれた奴隷のように恭しく頭を下げた。だって、怖いんだもん。


「どういたしまして、あ、それからさ」


 ミーナ様の美しいお顔がぐいっと私に近づいてきた。綺麗に手入れされた細い眉が一直線になると、耳元でこう囁いた。


 聖夜をたぶらかしたら、ただじゃ済まされないからな、と…… 


 必死でこくこくと頷くと、ミーナ様はスタッフルームを出ていった。





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