××倶楽部
む、無理! 無理! 無理! 無理!
あんなの体に打ちつけられたら、私しんぢゃいますっ!
「リオ様ごめんなさい、でも私は社長が……」
「言い訳を聞きたいわけじゃないわ」
鞭がひゅんと空中で輪を作り、それが棒状になってまた床に打ちつけられる。
今度は、椅子から近い場所だ。
「聖夜のこと好きなの?」
黒いアイラインが綺麗にひかれた鋭い瞳が、じっと私を見据えた。
両手で自分を抱きしめるようにして、がくがくと震える体をかばう。
「……す、好きです。社長は、リオ様のものなのかもしれないけど……それに私出会ったばかりで昔からの知り合いのリオ様に比べたら、何もわかってないかもしれないけど……でも、社長の一生懸命なとことか、優しいとことか、好きになっちゃいました」
「でも、結局惚れたのはあの外見に、でしょう?」
リオ様がカツンとヒールで床を踏む。胸の部分がレースアップになってるドレスは、真っ黒だ。
「あの……外見が好きじゃないって言ったら嘘になりますけど…………」
だって、あんなにカッコいいんだもん。この前行ったホストクラブの中でも、社長は抜きに出てカッコよかった。私が今まで、外見だけで恋してきた人たちと比べても引けをとらないくらいにカッコいい。