××倶楽部

「でも、社長の魅力は外見だけじゃないってリオ様が一番ご存知じゃあ……」


 当然よ! と、また鞭がパシンと鳴った。

 冷たい視線は氷点下マイナス四十度。目があっただけで凍りついてしまいそうで、リオ様に会いにやってくるお客様は、ここから、どんなふうにリオ様を見上げているんだろう。


 リオ様は、私に背を向けると携帯電話に耳を押し当てた。長いストレートロングヘアがとても綺麗だ。


「あ、ミーナちゃん。今、私の部屋よ。うん、待ってるわ」



 げ、ミーナ様もいらっしゃるの?


 リオ様は真っ赤な唇を、ふふ、と微笑ます。私を鋭利な刃物をつきつけるように見つめてくる。


「今日は開店まで、とことん責めてあげるわ。ミーナちゃんが聖夜のことを好きなの知っていたんでしょう? 可愛い顔して最低ね」


 そうだ……私、ミーナ様から直接聞いていたのに、ミーナ様がこわいからって結局自分が社長を好きになったことは言えなかった。


 ズキンと痛んだのは心のほうで、リオ様の言葉の鞭は容赦ない。


「話すチャンスはいくらでもあったはずだわ。邪魔されたくなかったんだろうけど、それにしてもあんまりだわ。だって、私たちは私たちの気持ちを芽依ちゃんに話してたんだもの」



 
 
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