××倶楽部

 たぶらかさない。といいますが、たぶらかせない。きっと、社長は毎日をこんな風に過ごしているんだ……

 美人揃いの女王様たちに囲まれて、愛してる、とか、おまえだけだ、とか特別な言葉を言われながら、きっと、きっと、きっと……私が想像できないような凄いことだってしてるに違いない。



「あのぅ、町田さん」


 弱気な声だしたって、女王様たちはそれすら可愛い、なんて思ってるんだろう。


「町田さん……お取り込み中すみません。助けてくれませんか?」


 うわゎーっ、本当になんて弱々しくて可愛い声だすんだろう! それで、あの甘いマスクだなんて! そりゃ、女王様たちから愛されて当然だ。


 頭を抱えて髪をかきむしる。絶対ない。私が彼をどうこうしようなんて、絶対にない!



「ないんですか?」



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