××倶楽部
「はっ?」
ガバッと顔をあげると、椅子に座ったままの社長と目が合う。
ネクタイは右側に引っ張られていて、はずれかかっているし、胸元のボタンは三つくらい開いてる。
メガネは外されて、唇から頬にミーナ様の口紅がべたべたとついている……色んな意味でセクシーな社長と目が合った。
「町田さん、頭の中で考えてること呟いちゃうんですね。聞こえてますよ。僕ってセクシーですか?」
「ぎゃっ! 聞いてたんですかーっ? 最低!!」
「だから、聞こえちゃってたんですってば! 不可抗力ですよーっ! そんなことより、助けてください。ミーナさん、僕のこと縛ったままいなくなっちゃって」
社長はがたがたと椅子を揺すった。後ろに縛られた両手が外れないらしい。
「ガムテープ切って欲しいんですけど、僕の机の引き出しにハサミありますから」
「え、あ、はい!」
慌てて社長の机からハサミを探す。