××倶楽部

「……社長、昨日は会いに来てくれてありがとうございました」


 社長は自分の椅子に深く腰をかけると、いえ、と咳払いをした。


「今夜は、僕の部屋に来ますか?」


「ええっ?」


「そうだ、そうしましょう。僕の部屋で二人きりで過ごしましょう」


 思いっきり、はい! と頷いてしまいたいけど、それで本当に大丈夫かな? ミーナ様は? リオ様は?

 それに今夜も典がうちに泊まりにくることになってる。


 頭の中で次々に色んな人物の顔が浮かんでは消えて、目眩がした。



「拒否権なしです。社長命令、今夜芽依は僕の部屋に泊まる。それで、ゆっくりと今後の話をしましょう」


「は……はい」


「では、仕事」


「…………はいっ!」


 顔が熱い。こんな社長命令、何度だってされてみたいのに、浮かれてばかりいられないのが現実だ。


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