××倶楽部

────偽物のシークレットサービスみたいなスーツに身を包んだボディーガードのマサキさんに連れられてスミレ様がご出勤された。

 マサキさんは以前より眼孔が鋭くなって、注意深く部屋を確認すると、入り口の警備を続けます、と言って部屋を出ていった。

 行方不明期間に何を教わってきたんだろう……? だけど、ボディーガードといいつつ仕事内容は、けっこう楽に見える。

 ハヅキさんは髪を黒く染めて、現在就職活動中らしい。二人はハヅキさんのマンションで同棲をはじめて、近々婚姻届を提出するらしい。

 これじゃあ、マサキさんがバーを開店させる資金を社長がだすようなものだ、ま、それが結婚祝いなんだろうけど……というのがミーナ様のご意見だ。


「聖夜……」


 スミレさんは、しゅんとした表情で社長の机の上に座った。

 レイラ様も、ちーっす、と挨拶しながらご出勤されて、スミレさんと社長を横目で睨みつけると自分の部屋に向かう。

 社長といちゃいちゃしないのはレイラ様だけだ。



「スミレさん、どうですか? その後」


「……うん、やっぱ見られてる……」



 
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