××倶楽部

 スタッフルームは、沈黙。嬉しいはずなのに、何だろうこの侘びしさは……


 慣れてきた仕事を間違えないようにパソコンとにらめっこしながら、女王様たちのご出勤タイムを終える。


 社長が誰ともキスをしない。


 最後にリオ様がご出勤された。だけど、その態度がどこかよそよそしい。

 そして、今日は週に一度のスタッフミーティングの日だから女王様たちのゴージャスな待合室に全員が集合させられた。



「ねー、なんでキス禁止なのー?」

「そうよ! なんで?」



 女王様たちの不平不満を社長は、まあまあ、と柔らかい笑みでおさめると、「スタッフミーティングをはじめます」と声を張り上げた。



「まずはじめにキスのことですが。僕も男です。今はある女性に恋をしています。ケジメじゃないけど、彼女は一般人なのでキスはやめようと思いました。皆さんご了承ください」


 女王様たちからは、一斉に、誰? それ誰なの? と悲鳴があがる。

 うわぁ……お願いだから辞めるとか言わないで!

 祈るような気持ちでいると、女王様たちの真ん中に君臨するかのように座っていたリオ様が、皆落ち着いて、と呟くと、女王様たちはシンと静まる。





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