××倶楽部
まずは話をしたい。
社長のため息が鎖骨に吹きかかり、思わず厭らしい声がでた。
メガネが外れて、カーペットに落ちた。綺麗な特殊コーティングをしたんじゃないかってくらい艶やかな肌と、さらさらの髪が頬に触れる。
あ、っと漏らした声。
それをキスで塞がれて、着ていたカーディガンのボタンが一つずつ外され、足と足の間に社長の体が入り込む。
「ま、待ってください……」
こんなもやもやした気持ちのままで、そういうことは出来ない。
「説得力ありませんね。残念ながら、今日は待てませんよ」
「あぁ……」
社長は楽々と私の両手を頭上にひとまとめにすると、唇を引き上げた。
どうしてこういう時だけ、うんと意地悪になっちゃうんだろう。
そのセクシーな唇は勝手気ままに、次々と意地悪なことを吐き出す。
「芽依を抱きたいんです。混沌とした表情の芽依をそのまま抱いて、めちゃくちゃにしてやりたいんです。話はそれからでもいいでしょう? 今夜一晩一緒にいられるんですから」
「そんな…………っあ」
それは好きだからですか?
好きだから抱きたいしめちゃくちゃにしたくなるんですか?
私、こんなにわからなくなってるのに……今日の社長は余計にわからない。