××倶楽部

「社長…………」


 壊れちゃいそうなくらい強く抱きしめられて、社長の背中に手を回した。


「社長、教えてください。リオ様と社長ってどういう関係なんですか?」


 ずっと訊くのが怖くて、後回しにしていた事。


 社長は、もしかしたら、あのファーストキスの話の時に、私にリオ様の話をしようとしてくれていたのかもしれない。


「このタイミングでリオさんの話をしろと?」


 メガネのない顔で複雑な表情をしたまま私を見下ろす。


「はい……リオさんのことが一番気になるんです。できたら先に教えてください」



「そうですね…………リオさんの名前聞いたら、ちょっとシラけました。僕にとってリオさんは、少し普通とは違います」


 ああ、やっぱり。


 ミーナ様も言ってたように社長の特別はリオ様なんだ。



「リオさんは、あの様に気丈な女性ですから、最初は憧れと恋が混ざり合ったものだったんです。僕たちは幼なじみでしたから、いつも一緒でしたし、正直言葉にして説明するのは難しいです」


 社長は愛撫をやめて私の隣に寝転がって話を続ける。その手だけが、私の頭を撫でて、視線は天井の丸いライトを見つめてる。


 その横顔は、私が知らなすぎる事をたくさん思い出しているんだろう。


 優しくてうっとりと見つめたくなる綺麗な横顔。



「私にも、典っていう幼なじみがいるんです。口が悪くて俺様なんですけどね」




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