××倶楽部
15
────「バカ芽依! なんでそんなことになったんだよっ!?」
レモンを絞って唐揚げがじゅっと音をたてた。その皮を手からポロリと落とすと典は眉間にシワを寄せて動かなくなった。
「なんでって……社長命令で部屋に泊まりに来いって言うから…………」
寝不足の目をゴシゴシとこすって、目の前の御茶漬けをすする。
これ食べたら、さっさっと帰って寝よう。
「だ……だから、昨日帰ってこなかったのか……」
「典大丈夫? 顔色真っ青だよ?」
昨日はあのあと、社長だけを酔っ払い三人組の餌食にはできず私も朝まで付き合う羽目になった。
社長の部屋にはお酒がなかったので、マサキさんが勤めていたホストクラブに移動して、三人は高級なシャンパンを水のように飲んでいた。
ホストよりも客の目をひくお父様と社長のせいで店は大繁盛だ。オーナーに「帰らないでぇ」と泣きつかれながらもお父様の「次行くぞ」のかけ声で、リオ様とミーナ様が両腕に絡みつく。
私も社長もふらふらしながら後を追った。
それでも元気マックスな三人はスキップしながら夜の街を突き進む。
次の店は、お父様行き着けのキャバクラだった。