××倶楽部

 キャバ嬢たちは、最初はリオ様とミーナ様を警戒していて近寄りがたい感じだったけど、放浪癖のあるお父様が店にくるのは久々らしくママやナンバーワンキャバ嬢を両手に独り占めして、最後にはリオ様もミーナ様も一緒になって、ヒャハハハ! と笑いの大合唱。

 その頃には意識が朦朧として、社長に寄りかかって、夢の世界と現実世界を行ったり来たり……


 次に気がついた時には、社長の部屋のソファーで寝ていて、隣にはぐったりした社長が床で倒れてた。ベッドはお父様と二人の女王様が占拠してしまったらしい。どういうことになってるのかは、怖くて確認できなかった。



 おかげで今日は散々な一日だった。事務所のドアを開けた女王様たちは、聖夜お酒臭ーい、もうキスしてあーげないっ、と意地悪しながら部屋を出て行く。

 私も社長も飲み過ぎた上に寝不足で、それをのらりくらりとかわして必死に仕事をこなしていた。

 リオ様とミーナ様は今日も元気で、お酒臭さもなく、昨日の味方は今日の敵らしく、熾烈なナンバーワン争いをしていた。



 やっと勤務時間が終わって、「落ち着いたら、また二人で話ましょうね……」と社長と約束してマーベラスを後にした。

 でも、お母さんたちがまだ帰ってきてなくて典に捕まり近所の居酒屋に来たというわけだ。



「ねえ、典……お母さんたちいつ帰ってくるの?」


「明後日、インド旅行だからな」


「インド!? え、お母さんたちインドにいるの?」
 
「知らなかったのかよー、ヨガでシェイプアップツアーだってよ」



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