××倶楽部

「ねえ、典……」

「なんだよ」


 ぶっきらぼうな声。私にはいつも冷たいのに、背中はこんなに暖かい典って変な男。

 なのに、どうして、こんなに落ち着くの?


「ごめん、今日だけ無効にして……」


 典の背中に顔もうずめて、両手に力を込めて強く抱きつく。私の居場所は最初からここだったんじゃ…………

 暖かくて広い背中に、私は一度も自分から寄りかかったことがなかった。



 ううん、今は寝不足だからだ。衝撃的なオールナイト後だから、私も少し壊れてるのかもしれない。

 それに、普段なら自分から絶対にこんなことはしない。


 今日は、何もかもが少しおかしい……




「今日だけな、スピードあげるからちゃんと掴まってろよ」


「うん……」


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