××倶楽部

 両手を押さえつけられて、涙目をぎゅっとつぶった。


 コンコン、と私の部屋のドアをノックする音がして、目を開くと、典もものすごく驚いた顔をしていた。


 ドアの向こう側からは、お兄ちゃんの飄々とした声が聞こえてきた。
 

「一つだけ教えてやる。俺さっき帰ってきたから。会話全部聞こえてたけど、わすれてやるから大丈夫。仕事行ってくるからな」


「お、お兄ちゃんっ二回目だしっ!!」


 典が、あーアキ兄いつもわりー、とバツの悪い声を出すとお兄ちゃんの足音が遠のいてく。


 階段を下まで降りたとこで、またお兄ちゃんの声がした。


「それから、典! 何度も言うけど避妊はしろよ! これで芽依まで孕んだら母さんが卒倒するからなー」


 お、お兄ちゃん!!



 そんなご近所中に響いちゃうような大声で言わないでよ!


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