××倶楽部
────どうしよう……同時に二人の男性とそういう関係になってしまったことになる。
「ほら、いくぞ。手だせ」
電車を降りると、典に手をひかれて人ごみを歩く。
せっかくの休みだし、映画でも見ようと約束したことを思いだして外に出た。家の中にいると、典の誘惑にやられて私は一生あの腕の中から抜け出せないと思ったから……でも、これはこれでまずかったかもしれない。
だって、恋人同士のデートみたいだもん。
「ねえ、典、手繋ぐのはやめよ……誤解されちゃう」
「は? なに? 手繋ぐの嫌なのか? 何回も手繋いで歩いてるじゃん」
「そうだけど……」
それは私が迷子にならないように、引率者的なもんだ、って典が言ったから。
頷くと典は呆気なく手を離す。だけど、すぐに私の肩に腕を回した。
「こうがいいのか? そんなに俺にくっついてたいか芽依は」
耳たぶに吹きかけられる吐息に、いゃっ、と反応すると典は嬉しそうな顔をした。
「ばーか、エロい声だすと、このまま駅のトイレ連れ込むぞ。芽依が抵抗するからすっきりしないままだし俺可哀想ー」
頬に指がすっと滑り、また体がびくんと反応してしまう。
典は、気にしないで私の肩を抱き寄せたまま歩き出す。