××倶楽部

 強引なのは、いつもの典だけど、こんな風に肩を抱かれて街を歩くのははじめて。

 しかも、この街はマーベラスがある繁華街から近い。


「ねえ、典。マーベラスの人に見つかるかもしれないから、やっぱり離れて」


 典は、ちっ、と舌打ちして「無理」と言う。


「芽依は昔から、天の邪鬼で優柔不断だよな。人の意見にすぐ流されるし、今まで嫌な思いしないで人生送れたのは誰のお陰がよく考えてみろ」


「な、なにそれ? まるで、俺のお陰だろ、って言いたいみたいじゃん!」


「でた、天の邪鬼!」


「典だって、優柔不断だよ。色んな女の子と付き合ってさ。すぐ別れちゃう」


「付き合うのは芽依にヤキモチ妬かせるためで、芽依がヤキモチ妬かないから用無しになった女とはすぐ別れるようにしてるんだよ。優柔不断なわけじゃねーし、俺はかなり積極果断だ。芽依に対する気持ちは中学の時から何もわかってない」






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