××倶楽部
「それはそれで最低っ!」
ぴしゃりと言い放ってそっぽを向くけど、聞こえてきたのは、ほんと最低だよな俺、という呟きと笑い声で、それだけで全部許したくなっちゃう。
典の手がのった肩にため息を落とした。
私、何してるんだろう。普段よりお洒落しちゃってるし。
典が好きな服装は、女らしく可愛い服装で、色はあまり派手じゃないのが好き。パステルカラーの服を選ぶと、典は必ず、「今日可愛いじゃん、洋服が」と言って私のことからかうんだ。
街のショーウインドウにうつる自分は、典が好きそうなパステルカラーの水色のワンピース姿で、女らしく可愛い服装を選んじゃってる。
隣にうつるのは、客観的に見れば誰もが視線を引き寄せられてしまう容姿の持ち主。典って、やっぱり男らしくてかっこいい。幼なじみとして見なければ、社長にも引けをとらない。
いつもジャージとか居酒屋でビール飲んでる私ばかり見てる典には、今の私がどんな風に見えてるんだろう?
っていけない。 デートじゃないのに、デートじゃないのに……何を期待しているんだろう?
典は幼なじみだ、典は幼なじみだ、頭の中でリピートしながら、これ以上典に惑わされないぞ、と気合いをいれる。