××倶楽部


「レイラさん、部屋に案内しますね」


 社長は、新人女王様のレイラさんの手をそっと握りしめ微笑む。そして手をひいて、紳士的なエスコートをしながら部屋を出た。

 レイラさんは、当然よ、とばかりに顎を突き出し社長にエスコートされていく。


 マーベラスでは、女王様一人につき一つの部屋が用意されているという贅沢さだ。この部屋は女王様たちの憩いの場。

 お客様の相手をするのは、自分の部屋で、基本的に一対一だ。

 私は毒々しい部屋を出て、社長とレイラさんの後ろ姿を見送り、地味で飾り気のない【STAFF ONLY】の扉を開くと、さっきの仕事の続きにかかる。



 この部屋には装飾もないし、電気も白い蛍光灯が色気なく光ってる。私には居心地のいい部屋だ。




「芽依ーっ!」


「はい、あ、ミーナ様。どうされました?」


「あたしの鞭知らない?」

 
「む、鞭っ!?」



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