××倶楽部
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────ヤクザのところ…………みんなで行けばコワく……なくはない。
超コワっ! 超コワい!
「の、の、典! 何このお屋敷っ!」
「知るかっ」
高く白い塀に鉄線がぐるぐると張り巡らせられ、門にはドラマに出てくるようなヤクザさんがお二人いらっしゃって……開くに重そうな巨大な扉は堅く閉ざされていて、絶対に開かなそう。
「SM倶楽部社長草原聖夜です。うちで働いているスミレさんという女性がこちらにいらっしゃってませんか?」
社長のキラキラ笑顔もヤクザさんには通用しないらしく、大きな体の角刈りのおじさんは目を細めて口を真一文字にしたままだ。
すると、社長と対峙していないほうの一人が門の脇の小さな通用口みたいなところに大きな体をかがめて入っていく。
「の、の、典、仲間呼びにいっちゃったのかな…………」
典は、はあ、とため息を吐き出すと、「そんなビビってるなら帰ろうぜ」と私の腕をひく。
だめだめ、私が帰ると三人になっちゃうもん。だったら、典を連れて五人のほうが心強い。
お留守番のハヅキ様には万が一の場合は、すぐに警察に通報してもらうことになっているけど、風俗店にとって警察のお世話になることはマイナスイメージだから、できるだけ避けたいって社長が言ってた。