××倶楽部

 スミレ様もとんだ災難だよね、こんなヤクザさんに好かれちゃうなんて……


「通せ」


 中から威厳があり少しかすれた声が聞こえて、襖が全開にひらかれた。


 最初に社長が入り、その後ろをリオ様ミーナ様私たちと続く。


 一体この部屋は何畳なの? と首を傾げたくなるくらいに広すぎる畳の部屋。その真ん中で、深緑色の和服を着たおじいさんが、私たちを睨みつけている。


 大きな座布団の上で胡座をかいて、腕を組み。白髪混じりの髪を五分刈りにして、口髭は綺麗に整えられていた。


 この人がスミレ様の、ストーカー……?



「よく来たな」


 歓迎の声とは思えない。表情もかたいし……ようこそいらっしゃいました、という意味じゃなくて、よく此処に呑気な面して来れたもんだな、という意味に聞こえた。


 ヤバいんじゃないの? 私たち……このまま捕まって監禁されちゃったりするかも?



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