××倶楽部
「駄目じゃ、帰れ」
だめなのーっ?
誘拐しといて、会わせてくれないのーっ?
正座した社長の手をそっとリオ様が握りしめたのが後ろから見えた。社長が、リオさん……と言うのと同時にリオ様がすっと立ち上がる。
「理由をお聞かせください」
その姿は、後ろからでもわかるくらい圧倒的なオーラを放ってる。
背中まで伸びたさらさらのロングストレートの髪からはいい香りが漂い、ついつい見とれちゃう美しいプロポーション。
「理由があるんでしょう? それを聞かないと私たちも帰れないわ……」
一方的な要求を女らしく絶対的に放つ。流石はマーベラスナンバーワン女王様。
「り、理由などない」
組長さんが、どもった! 少し慌ててるように見える! リオ様がんばれ!
畳の上をモデルのように美しく歩いて組長さんの隣までいくと、リオ様は妖美な笑みを浮かべた。
「私たち、スミレが心配で来たのよ……このままじゃ帰らないわよ……」
皺皺の耳にリオ様がふっと息を吹きかけると、組長さんはみるみるうちに赤くなる。
「なっ、なっ、なっ!?」
耳を押さえて完全にたじろぐ組長さん。後ろに控えているおじさんたちもざわめいた。
「ええい! 連れて来い!」
これ以上、組員の前で恥ずかしい思いをしたくないんだろう。組長さんが手を振りかざすと「うす!」と揃った返事がした。