××倶楽部

「汚い手で触らないでよーっ!!」


 スミレ様の声だ!


 さらに奥の襖が開く。おじさんたちに連れられて、誘拐されたスミレ様が姿をあらわした。


「聖夜っ!」


 うわぁん、と声をあげながら、棒取り合戦の選手のように社長めがけて飛んだスミレ様をしっかりと両手を広げて抱きしめる。

 二人は抱き合ったままもつれて畳に倒れ込む。



「スミレさん……助けに来ましたよ」


 社長に頭を撫でられて、わあわあと泣くスミレ様。

 よかった……スミレ様無事だ。元気そうだし、あとはここを無事に脱出できればいいんだけど……



「は、離れんかぁっー! この馬鹿者っ!!」


 組長さんは、顔を真っ赤にして立ち上がる。

 組員のおじさんたちも怖い顔して私たちを取り囲む。


 絶体絶命…………


 おじさんたち全員で何人だろう……ミーナ様倒せるかなぁ……



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