××倶楽部

 組長さんは肩をわなわなと震わせながら、懐の短刀を引き抜いた。


「しゃ、社長!」


 やめて、やめて、それだけは、やめて!


 きらりと光る刃物は本物……



「わしのスミレちゃんから、離れんかぁっー!」



 す、スミレちゃん?


 組員のおじさんたちが、「お頭、刀は不味いですって……」「はやまらねぇでください」と狼狽える。



 典に腕を掴まれて抱き寄せられた。芽依、俺から離れんなよ……って言われて、典のジャケットの袖を握りしめる。



「おっさん、それしまえよ!」

「あっミーナ様!」

 ミーナ様が両手を広げて社長の前に出る。いくらミーナ様でも刃物持ってる組長さんには勝てないよ。

 どうしよう!? 血を見るのだけは、絶対嫌だ。





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