××倶楽部
組長さんは、下唇をぷるぷると震わせて、鼻の穴を広げて荒い呼吸を繰り返す。
社長は、スミレ様を抱きしめたまま起きあがると、ミーナさん危ないから! といって手を引いた。
「いい加減にしてよ! パパっ!」
パ、パパっ?
社長の首に手を回して、可愛らしく膝の上にのっているスミレ様が組長さんを、キッと睨み付ける。
「パパなんて、もう大嫌い! 絶交よ!」
「そんなぁ……パパは、スミレちゃんが仕事が忙しいって言うから、お家に連れて帰ってきてあげただけなのにぃ……」
組長さんの手から短刀がポロリと落っこちた。刀は畳に刺さり、それをリオ様が引き抜いて「いい刀ねぇ」とうっとりと見つめる。
「楽しいから忙しいの! 毎日毎日パパとデートしてる暇なんてないのよ! だからって付きまとわないでよ! こわかったんだから!」
崩れ落ちた組長さんを、お頭、お頭! とおじさんたちが支えた。