××倶楽部

 社長……やっぱり優しい。すごく優しい人だ。

 組長さんが、ぐぉおお……とうなり声をあげて両目から涙をぼろぼろと流す。

「お頭っ、またお嬢が大人の階段のぼっちまいましたね……っく」

 組員のおじさんたちも、それぞれ涙を流してみたいだ。

 ヤクザなのに、いい人なのか悪い人なのかさっぱりわからない。



「もう、泣かないでよ。ダサッ」


 スミレ様は口ではそういいつつも、ヒョウ柄のキティちゃんのタオルを組長さんに渡してあげていた。

 キティちゃんに顔を押し付けて、おいおいと泣く組長さんは、「スミレちゃん、ごめん」と謝っていた。




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