××倶楽部
18
────それから、播磨組のご好意で宴席が用意された。
リオ様とミーナ様は、今日もたくさんのお客様がお待ちになっているので先に店に戻り、社長と私と典は、帰るに帰れず、そのまま残った。
典は、ずっと付き合ってくれて、懐石料理みたいな豪華な料理を前に、ラッキー、と箸をすすめてた。
料理も食べ終えて、お酒も入り、すっかり意気投合した社長と組長さんは肩を組んじゃってるし、スミレ様もこれで後をつけられることもなくなるだろうし一安心だ。
「あれ、典がいない……」
さっきまで隣にいたはずの典がいなくなってる。
「トイレじゃない? 縁側の突き当たりがトイレだよ」
スミレ様に教わって、広い畳の部屋から障子を開いて縁側に出ると、外はすっかりと日が暮れて夜になっていた。
「典?」
典は縁側に座っていてすぐに見つかった。庭に足を投げ出していて、夜風にあたっている最中のよう。
「飲み過ぎちゃった? 料理もお酒も美味しいよね」
外灯に照らされて京都みたいな庭は幻想的だ。
「そうだな」
「典、どうしたの? 大人しいじゃん。あ、さっきのことは許してあげるよ。スミレ様も無事だったし、典がいてくれて良かったよ」
「ああ……てかさ、あいつ…………いい奴だな」