××倶楽部
社長に両腕を引かれて、典には腰を掴まれて、長途半端な姿勢なままの私はそのまま倒れるように社長の胸に引き寄せられた。
「うわっ、社長ちょっと待ってくださいっ!」
だけど、社長はふわりと優しく微笑むとそのまま私へキスを繰り返す。
しかも、かなり深い大人のキス……
目眩がする。キスは高級で甘いお酒の味。目を閉じたら、そのまま吸い込まれてしまいそう。
「しゃちょ……やめ……んっ」
後頭部を押さえつけられて、社長が顔を傾けるとキスがさらに深くなる。抵抗して胸を押し返したり叩いたりしても適わない。
閉じた瞳、社長の綺麗な長い睫毛……
こんな時でも、すごく色っぽくて、それが逆に私を困らせる。
「いい加減にしろ!」
典がキレて、社長の肩を突き飛ばした。社長はそのまま床に飛ばされた。
「あっ、大丈夫ですか?」
「こんな奴ほっとけ、それよりお前が大丈夫か?」
典が洋服の袖で私の唇をごしごし拭う。泣きそうな顔……してるよ、典。
「芽依、帰ろう。こんな奴がいるところには、もういられない」
「え、でも……待って、典」
「そうですよ、待ってください……典成くん。芽依、今すごくいい顔してるでしょう? 僕のキスで、欲情した顔してませんか?」