××倶楽部

 欲情、と言われて、体の奥がジンと熱くなった。社長のキスに熱くなったのか、典に恥ずかしいところを見られて熱くなったのか……

 典はそれを確かめずに、私を見ないで抱き締めた。


 私はただ人形のように、典の胸に額をつける。



 社長……多分、酔ってる。


 酔ってるから、本性が出ちゃってるんだよ。



「典成くんは、芽依にそんな顔させられますか?」


 サディストオーラ全快の社長は、ゆらりと床に座りなおす。


「見せてくださいよ。じゃないと僕は納得しない。僕は、半端な気持ちで芽依に自分の気持ちを伝えたわけじゃない。

 本気で芽依を欲しいと思ったから、リスクをおかしてでも彼女とちゃんと付き合いたいと思った」


「……なんで、芽依なんだ? お前には、リオや、ミーナや、それにスミレだっているだろ。どうして芽依がいい?」


「決まってますよ、芽依はリオさんとも、ミーナさんとも、スミレさんとも全然違う。典成くんもわかるでしょ?

 芽依は、いつも健気に真っ直ぐで一生懸命で、よく困った顔しながら不安そうにしているんですよ。そういう芽依を見てると助けてあげたくなる。でも腕の中にいる芽依を今度は自分が困らせたくなって、つい意地悪なことばかりしてしまうんですよね。そこが楽しいって言うか、くせになる」


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