××倶楽部

 キスされるっ!

 目を閉じて身構える。


 すると、典はチュッと私の額にキスを落とした。


 あ、あれ? 口にされるかと思ったのに…………


 典の視線は、私を飛び越えて社長に注がれているみたい。


「てめぇ……本気じゃねーだろ?」


 な、なんの話だろう?


 典に押し倒されたまま、社長に目を向ける。

 乱れた姿が悩ましく、少し怠そうに首を傾げた社長は、ふっと吹き出した。


「芽依のこと、本気じゃねーだろ? って聞いたんだよ、答えろ!

 俺なら、絶対に自分から他の男とキスさせるようにけしかけたりしないし、それにそんな風に冷静に見てられねぇ」



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