××倶楽部
「僕は本気ですよ、ただ……典成くんの本気さが痛いほど理解できるから、芽依は僕といるより幸せになれるかもしれないとか考えちゃっただけです」
社長…………
「なにが、考えちゃっただけです、だよ! あのなぁ、こっちはマジで芽依のことが大事なんだよ!」
「僕も大事だって言ってるでしょう」
「そんなの信用できないね」
「典、やめて」
自分が気にくわないことがあるとすぐに喧嘩口調になるんだから……
「ごめんね、典」
典の腕の中から抜け出すと、典は、なんで謝るんだよ……と弱気な声を出す。だけど真っ直ぐな瞳だけは、ブレずに私だけを見てくれる。
こうやって典に見つめられるのが当たり前だった。芽依、芽依と何度も名前を呼ばれて、心配されて怒られて、笑わせてくれて、最後にはいつも典がそばにいてくれる。それが当たり前だった。
「ごめんね、典。社長と二人にして……私たち一応付き合ってるんだ。だから、二人で話させて」