××倶楽部

 社長は片膝をたて、そこに頬杖をつきながら、そうだった……、と他人事のように声を出す。


「な……、なんでコイツと?」

「話するくらい、いいでしょう? 二人にさせて」

「俺がいたって話くらいできるだろう?」


 社長がくつくつと笑いながら、話だけですよ、とぼやくと典はギロっと社長を睨みつけた。


「わかった……向こうの部屋に戻ってる。だけど此処で話せよ。他のところ行くなよ、芽依」


「うん、わかった。ありがとう典……」


 典は、舌打ちしながら立ち上がると、障子を開いて畳の部屋に入った。しばらく、典の背中をそこにとどまる。だけど、すぐにその影が消えた。


「二人きりになって、何を話すつもりですか?」


 社長が首を傾げると、その柔らかい髪がさらりと揺れて夜風になびく。


「社長寒くないですか? 窓しめましょうか」


 典が開けた窓を閉めようと手を伸ばすと、その手を掴まれて後ろから社長に抱き締められる。




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