××倶楽部
膝に手をついて呼吸を整える。
灰色のアスファルトにため息を吐き出した。
胸が苦しくて、呼吸が煩わしいのに、何故か心がすっと軽くなった。
社長じゃ駄目だ、何か違うって、とっくに気がついてた。リオ様や女王様たちのこととかもあったけど、結局一番の大きな要因は、今目の前で無表情に腕を組んで私を見下しているこの男。
「典のほうが……好きだった……」
社長には、自分からこのことを伝えるつもりだった。
でも、多分社長は全部気がついていて、私が自分の口で典に伝えられるようにしてくれたんだと思う。
最初に告白してくれたのは、多少なりとも好意を抱いてくれていたから……だけど、さっきのは典の性格をみて、闘争心を煽るため……
社長はそういう人。
「やっと、気がついた……?」
「うん……ごめん、長かったでしょ」
私にとって、典よりいい男なんて見つけられるはずがない。
だって、典が最高の男だったんだから……
自分勝手で俺様で、おまけに処女まで奪われてそれを黙っていられたけど…………典がはじめてで良かった、と嬉しかったりもする。