××倶楽部

 典がホッとしたような、ムッとしたような、泣きだしてしまうような、笑いだすような、不思議な顔で私を見つめてくる。





「芽依、俺たちちゃんと付き合おう。誰にでも堂々と宣言したい。芽依は俺の幼なじみで彼女だって」


「うん、そうしよ……そうじゃないと、私また焦って違う人好きになっちゃう。典が毎日好きだって言ってくれてないと、わかんないんだよ……」


「毎日かよ、また極端だな。だけど、言ってやる。そんくらい、余裕」



 典の手が腕を這い上がり、肩を丸く撫でて首筋、それから頬に押し当てられた。




「芽依が好きだ」



 はじめて、なんの後ろめたさも疑いもなく、典からの告白が聞けた。その言葉が体中に染み渡る。


 そして、この目の前の笑顔は私はきっと一生忘れない……






 
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