××倶楽部
ミーナ様は気がお済みになられたようで、よし、と気合いをいれて部屋を出ていく。社長は真っ赤な口紅がついたままの顔で深呼吸していた。
「社長、お疲れ様です。クリスマスプレゼント届いてますよ」
社長宛てに届いた小包を指差す。さっき宅配業者から受け取っておいた。
「ああ、はい。ありがとうございます」
ミニキッチンで顔を洗って、いつものデスクに座ると椅子をギッと鳴らして嬉しそうな顔をする。
「父さんからだ……」
「お父様どこで何してるんでしょうね?」
「楽しそうにやってますよ。そういえば、半年会ってないのか……。ま、仕方ないですね」
包装をといて、メッセージカードに目を通す社長を横目に自分の仕事に戻る。
私もはやく終わらせないと、今年のクリスマスはいつもとは全然違うクリスマスなんだから。
「あ、そういえばマサキさんとハヅキさんの店が来年に開店するらしいですよ。よかったら立ち寄ってあげてください。マーベラス割引があるみたいです。ていうか、僕が払った百万をオーナーがそのまま開店資金の足しにしてくれたみたいなので、半分僕の店みたいなもんですね」
「ははは、たしかに! それにしても、マサキさん、ボディーガードとしては全然役立たずでしたけど、夢を叶えられてよかったですねー」
ハヅキさんも、まだまだ大変そうだけど幸せそうだ。落ち着いたら結婚式もしたいって言っていた。