××倶楽部

 パソコンのキーボードを叩く音と、マウスを操作する音が静かに響く。

 だけど、それも長くは続かない。


「聖夜ぁああ! 聞いてよ、パパがねぇー!」


 スミレ様が入ってきて、一直線に社長の膝の上に飛び乗った。

 社長は、げんなりとした顔で肩を掴まれてなす統べなく前後にがくがくと揺すられている。


「パパが、聖夜と結婚しないなら、うちの弟分のゴリラみたいな男と私を結婚させるって言うのー! 責任とって、結婚してよっ!」


 揺すられて顔にかかった前髪がさらさらと揺れてる。


「だ か らぁー、僕は播磨組の跡取り息子にはなりませんが、スミレさんには自由な恋愛をさせてもらうように組長さんと話ましたよー」


「だってぇ…………ゴリラが私のこと好きだっていうんだもん。それなら、聖夜と結婚したい!」


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