××倶楽部

─────「じゃあね、典バイバイ」


 制服のプリーツスカートを揺らして幼なじみの芽依は薄情にも、にっこりと可愛いらしく微笑んで俺に手を振った。


「ちょっと、待てよ! 芽依っ!!」


 借りてた漫画返しにきただけだもん、と芽依は、さっさと俺に背を向けた。


「芽依っ!!」


「ちょっと、典くん! 幼なじみの芽依なんかほっといて、これどういうことか説明してよっ!」


 芽依の背中がどんどん小さくなっていくのに、目の前にはそれぞれ着飾った女たちが俺をじろりと睨みつけていて俺はその場を動けない。


「だ、だから俺は誰とも約束なんかしてねーしっ!」

「だって、私と付き合ってくれるって言ったじゃない!」

「違うわ! 典くんは、私と付き合ってるの!」

「彼氏とクリスマスを過ごすのは彼女の当然の権利じゃない!」


「だから、私が……っ!」

「違う! 私!」

「典くんは、私が好きなのっ!」

 七人も集まるなんて、クリスマスなのに暇人ばかりだ。

 告白されて、あっそ、と冷たくあしらったつもりが、なんで全員が俺の彼女になってんだよ?

 これじゃあ、芽依が誤解する…………



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