××倶楽部
────次の日の朝。芽依の隣で寝たら、変質者扱いされて左頬を思いっきり殴られた。
どうやら同じ部屋でも、俺は床に寝ろってことだったらしい。
蹴られた鳩尾と頬が痛い。不完全燃焼な下半身も重い。それ以上に俺のチキンハートは、ずたぼろに傷ついてた。
「昨日話の確認だけど、芽依の好きな奴って誰?」
「え? そんな話したっけ? 好きな人なんていないもん、私いまは友達と一緒にいる時が一番楽しいし、あ! お母さん今日奈美と李花とでかけてくるね!」
淳一くるから、典もくる? と訊かれて、うん、と頷きながら朝食のトーストをかじる。
「はいはい行ってらっしゃい。それより、典くん目の下にクマができてるわよ? 大丈夫? 寝れなかったの?」
首を振って、熱々のカフェオレをごくっと飲み込む。
「ああ、私もなんかお腹痛いんだよねー。なんでだろう」
下っ腹をさすりながらの芽依のボヤキに、ギクッと硬直する。
「お母さんがジュースとワイン間違えるから乾杯してから今朝までの記憶もないんだよねー」
「はいはい、ごめんねー。もう間違えないわ」
記憶ないのかよ……だよな、ないよなー。
「はあ……」
「典、どうしたの? 元気ないよ」
「別に……」