××倶楽部
「いねーよ!」
俺以外には……と心の中で付け足す。俺、超チキン。焼かれて食われちまえばいいんだ。
くそ……アキ兄のせいだ! アキ兄のせいでこんなことになったんだ!
恨みをこめて、アキ兄を睨みつける。
「責任とれよ、典」
ばっ、バレてる!?
百倍返しの凄みをきかせた眼光と低い声が怖すぎて、行き場を失った俺の怒りは自分で消化するしかないらしい。
「もう、絶対典よりいい男みつけてびっくりさせてあげるんだからね!
あ、でもさ、お酒って凄いよねー。私、すごくすごーく幸せな気分だったんだ」
「め、芽依……」
ふふふ、と笑う芽依が可愛いすぎてムカついた。
そうだ、地球は無事だったんだ。人類も滅亡したわけじゃない。だから、きっといつか俺にだって…………
「典、またこっそりお酒飲んじゃおうか?」
芽依がアキ兄に聞こえないように囁いた。そうしよう、と耳元に返事を返して、微笑む。
だから、今はこれでいい。
【はじめてのクリスマス】
side典 おしまい。